2012年6月19日火曜日

土地無し農民の血の金曜日/El viernes en un sangriento enfrentamiento

警官が撃たれた衝撃的な写真
よく理解できていないが、ここに記録しておかなくてはいけない事件があった。
世界的なニュースになったという、先週の金曜日6月15日の「土地無し農民と警官隊の血の衝突」。

以下、まずJICA事務所からの注意喚起文面。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カニンデジュ県における土地無農民騒動について

本日早朝、約200名の警官隊によってブラス・リケルメ元上院議員の所有地を不法占拠している土地なし農民「カルペロス・グループ」の強制退去が行われ、その際に武装した農民グループと銃撃戦になり、現在までに死者18名、負傷者80名以上の被害者が出る事態となっているとのプレス報道がありました。
内務大臣は、本件に関して新たな警官隊及び軍隊を投入することが決定され、事態の鎮静にあたることを発表しています。
一方、アスンシオンでは、本日夕方より緊急国会が開かれ、「緊急事態宣言発令」「内務大臣及び警察長官罷免」「ルゴ大統領への政治裁判」等について審議されることとなっており、その結果次第では、国会前等での農民やその他政治グループ等のデモ等の発生も懸念されるところ、各人においても十分な情報収集を行なうとともに、国会等や群衆のある場所には近づかないように留意願います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
事件のあったCanindeyu県Curuguatyの位置
新聞によると、この衝突によって今日現在で警官6人と土地無し農民11人の計17人が死亡したという。
まだ見つかっていない農民の死体もあるとされ、もっと死亡者は多い可能性がある。

先日、民衆のデモやブラック・フライデー騒ぎで意外と先進的なパラグアイを世界に発信したが、この事態は腐敗した政治と混乱ある国情という印象を伝えることになった。
ーーーーー
この衝突はアスンシオンから約250km北東のCanindeyú県のCuruguatyというブラジル国境近くの村で起こったものだ。
JICAの通達にもある通り約200人の国家警察官が立ち退き命令を受けて、金曜日の早朝にテント等を張って住み着いてしまった農民たちを排除すべく投入されたのが始まりだ。

テレビの画像を見る限りでは、無抵抗な土地無し農民に一方的に警官隊が殴り掛かっているように見える場面が繰り返し報じられていた。
警棒で殴られ倒され追い立てられ、トラックの荷台に鈴なりに詰め込まれて運ばれていた。
その後、勾留して拷問が行われたとの噂もあるし、古い軍隊のようだ。

「Curuguatyは戦場と化した」と報じる新聞サイト
しかし農民側が先に、ゴム弾と催涙ガスだけで任務にあたっていた警官に発砲したとか、地雷のような殺人トラップを仕掛けていた等の報道もあるし、もしかしたら国家騒乱を狙うテロリストが農民に混ざっていたことが今回の惨事を産んだのかもしれない。


いずれにしても同じ国民同士で銃撃戦が行われて、20人近くが亡くなり、100人近くが負傷した大きな事件だ。
国務大臣と警察のトップが辞める事態に発展し、大統領の責任も問われているという。


とにかく金持ち元議員の土地だということでなんとなく農民の側に付きたくなるが、農民の中には、土地を手に入れたらすぐ売ってまた他の土地を占拠しに行くということを繰り返している現金目当ての輩も混ざっているというので、話しがややこしい。
ーーーーー
もちろん金曜日はこのニュースがトップで繰り返し放映されていたので、昼食でも同僚はテレビに見入っていた。
前から土地無し農民達は私有土地への侵入占拠を繰り返しており、頻繁に警官隊との衝突が起きているという。
そういえば、少し前にはイグアスでも日本人の農地で同じ問題が起きていた。

23日土曜、犠牲者への祈りが行われる
問題がややこしいのは政府が態度をはっきりさせないからだと、同僚は憤る。
土地取引関係の法整備を厳正にすれば、問題は無くなるということらしい。
しかし既得権益がからんでなかなか正義が進まないのは、どこでも同じだ。


グレーなところで利益を得ていて、そこそこの地位に就いている腹黒い人がいるんだろう。


それに加え、土地無し農民のリーダーが大統領の親戚だとか、ブラジルの資本家が土地無し農民に与えた土地を買い漁っているとか、様々な情報が飛び交っている。
ーーーーー
この事件、最後には軍も投入されて収拾したが、ショッキングな出来事だった。
パラグアイは南米一安全と言われていて普段安心しきっているので、この衝突事件は国境の農村地帯の出来事ながら一般市民も銃を持てるこの国の危険な面を、まざまざと見せ付けてくれた気がする。

0 件のコメント: